メシログで目安を作ると、カードのいちばん下に「なぜ、この数字?」という行が出ます。あなたの目安が、どんな前提から出てきた数字なのかを1行で言い添えるための行です。この記事では、その「なぜ」を1行では書ききれないところまで、計算のしかたごと全部お見せします。
出発点は、いまの体重を保つ「維持カロリー」
メシログの目安づくりは、性別・誕生日・体重の3つ(約30秒)から始まります。この3つで、いまの体重が増えも減りもしない維持カロリー——基礎代謝に、動き方のぶんを掛けた1日の消費の目安——をまず計算します。最初に出てくるのは減量用の数字ではなく、この「いまを保つ数字」です。そこから減らすか・保つか・増やすかは、次の章で選びます。
計算そのものは、公的な考え方に沿っています。
- 基礎代謝 … 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」の年齢階級別の基準値 × 体重で出します(基準値の表はメンテナンスカロリーの記事にあります)
- 動き方 … 4段階から選びます。デスクワーク中心 1.2/座り仕事だがよく歩く 1.35/立ち仕事・外回り 1.5/体を動かす仕事 1.75。この倍率は、世界で広く使われる推定式の係数帯に合わせています
誕生日をお聞きするのは、基礎代謝の基準値が29歳→30歳、49歳→50歳の境目で変わるからです。生まれた年だけだと誕生日の前後で1歳ずれることがあり、境目の年では体重70kgの男性で1日およそ130kcal、目安が変わってしまいます。だから年齢ではなく誕生日をお聞きして、毎回その日時点の年齢で計算し直しています。
さらに身長を入れていただいた方は、より個人差を拾える式(Mifflin-St Jeor式)に自動で切り替わります。
- 男性: 10×体重(kg) + 6.25×身長(cm) − 5×年齢 + 5
- 女性: 10×体重(kg) + 6.25×身長(cm) − 5×年齢 − 161
「どうしたいか」で動かす——±250kcalの理由
維持カロリーが出たら、次はあなたの「これからどうしたいか」です。目安を作るときに、減らしたい・保ちたい・増やしたい、から1タップで選べます。
- 減らしたい … 維持カロリー −250kcal/日
- 保ちたい … 維持カロリーのまま
- 増やしたい … 維持カロリー +250kcal/日
250kcalという幅は、体脂肪に換算して月におよそ1kgの増減にあたるペースです。体重70kgの方なら、2〜3か月続けると体重の3〜4%の減量に届く計算になります。厚生労働省の情報サイト「e-ヘルスネット」でも、3〜4%の緩やかな減量でも検査値の異常は改善するとされていて、逆に極端な食事制限は長続きせず、精神面にも悪影響があると説明されています(出典は記事末尾)。もっと大きく削れば数字の上では早く減りますが、250kcalは「早く」ではなく、この「緩やかでも効果が出て、続けられる」側に合わせた幅です。
選ばなかった場合は「保ちたい」として扱います。分からないことを、勝手に厳しい側へ倒さないためです。
選んだ向きは、目安カードの「なぜ、この数字?」の行にそのまま書かれます。たとえば減らしたいを選んだ方のカードには、「『減らしたい』に合わせて、ひかえめにしています。」と出ます。
目標体重を決めた方は、そのペースで——ただし1日±500kcalまで
マイページで目標体重と「いつまでに」を決めた方は、±250の固定幅ではなく、あなたの目標から逆算したペースで計算します。いまの体重と目標体重の差を、期限までの日数で割って、1日あたりの増減にする形です。
ただしここには、1日±500kcalという上限を置いています。たとえば「1か月で5kg」のような計画は、逆算すると1日に削る量が大きくなりすぎ、前の章で見た「緩やかでも効果が出て、続けられる」ペースから大きく外れてしまうからです。上限に当たったときは、黙って数字を変えるのではなく、保存したときに一度だけ「健康のいちばん速いペースで出しています」という趣旨をお伝えします。
たんぱく質・脂質・炭水化物・食物繊維も、国の基準から
カロリーの下に並ぶ4つの数字にも、それぞれ理由があります。
たんぱく質は体重ベースです(目標体重を決めた方は、目標体重ベース)。減らしたい方でも、筋肉を保つためにたんぱく質は減らしません。ふつうの活動量なら体重1kgあたり1.4g(増やしたい方は1.6g)、「体を動かす仕事」を選んだ方はスポーツ栄養の標準に合わせて1.8〜2.0gで計算します。そして、どんな計算結果でも厚生労働省の推奨量(成人男性60〜65g・成人女性50g)を下回る目安は出しません。
脂質は、国の目標範囲(エネルギーの20〜30%)の中央、25%で置きます。炭水化物は、目安のカロリーからたんぱく質と脂質のぶんを引いた残りです。3つを足すと、ちょうど目安のカロリーに収まるようにできています。
食物繊維は、厚生労働省の目標量の表から、あなたの年齢と性別で引きます。
| 年齢 | 男性(g/日) | 女性(g/日) |
|---|---|---|
| 18〜29歳 | 20以上 | 18以上 |
| 30〜64歳 | 22以上 | 18以上 |
| 65〜74歳 | 21以上 | 18以上 |
| 75歳以上 | 20以上 | 17以上 |
性別や誕生日がまだ分からない間は、表のいちばん低い値を使います。食物繊維の目標は「◯g以上」という下限なので、分からないのに高い値を置くと「足りません」と言い過ぎることになるからです。
細かいけれど、決めてあること
- 目安は10kcal単位に丸めます。1kcal単位の精度は本当は無いのに、あるように見せないためです
- それでも極端な入力(とても重い体重×高い活動量など)では現実離れした数字が出うるので、目安は1,200〜4,000kcalの枠の中に収めます
- 動き方を選ばなかった方は「デスクワーク中心」で仮置きして計算し、仮置きであることをカードに明記します。あとで変えれば計算し直します
目安は、使いながら合わせていくもの
ここまでの計算は、公的な基準にもとづく「たぶんこのあたり」という当たりです。同じ性別・年齢・体重でも、本当の消費量は人によって違います。だから目安はいつでも変えられます。体重が動けば計算し直せますし、動き方も「どうしたいか」も、あとから何度でも選び直せます。
3つの質問に答えなくても、メシログは使えます。その場合は1つの数字を出さず、一般的な幅(1,700〜2,700kcal)でお伝えします。分からないのに、1つの数字を言い切るのは嘘の精密さだと考えているからです。
計算した目安を、実際の記録と体重の動きで自分の実測値に寄せていくやり方は、メンテナンスカロリーの記事にまとめてあります。
なお、返ってくるカロリーはAIによる推定です(公式のデータがある商品は正確な値を使います)。写真は記録と一緒に保存され、あとから見返せます(保存は設定でいつでも変えられます)。ベータ版として無料で公開中です。
よくあるしつもん
動き方を選ばないと、どうなりますか?
「デスクワーク中心」で仮置きして計算します。仮置きのまま確定値のように見せるのは不誠実なので、カードに「動き方は『デスクワーク中心』で計算しています」と明記します。あとから選べば、その場で計算し直します。
減らしたいのに、目安が思ったより多く出ました
メシログの減らす幅は1日250kcal、目標体重を決めた方でも1日500kcalまでです。大きく削るほど早く減りますが、続かなくなったり筋肉から減ったりしやすいため、続けられるペースを優先しています。物足りなく感じたら、まず2週間この目安で記録してみて、体重の動きで確かめるのがおすすめです。
目安はあとから変えられますか?
いつでも変えられます。体重・身長・動き方・「どうしたいか」・目標体重のどれを変えても、目安はその場で計算し直されます。最初に作った数字に縛られる仕組みではありません。
持病があって、食事の指示を受けています
メシログの目安は、健康な成人向けの公的な基準から出した「目安」であって、医学的な指導ではありません。医師や管理栄養士から食事の指示を受けている方は、そちらを優先してください。
出典
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(基礎代謝基準値・たんぱく質推奨量・食物繊維の目標量・エネルギー産生栄養素バランス)
- Mifflin MD, et al. A new predictive equation for resting energy expenditure in healthy individuals. Am J Clin Nutr. 1990(身長を入れた方に使う推定式)
- Jäger R, et al. International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise. 2017(運動の習慣がある方のたんぱく質 1.4〜2.0g/kg)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満・メタボリックシンドローム予防の食事」(3〜4%の緩やかな減量でも検査値の異常は改善する)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」(極端な食事制限は長続きせず、精神面にも悪影響)